気の持ちようだとか、時には過激な根性論まで。
「病は気から」とよく言います。
諸説ありますが、東洋医学に端を発する考え方もあります。
元気、気遣い、気のせい、気が抜ける…普段から使う言葉にも気のつくものは多いですが、東洋医学でも「気」という言葉をよく使います。例えば「気虚(ききょ)」というと気が足りない…エネルギー不足で疲れているときや虚弱な体質をいいます。「気滞(きたい)」とは気の流れが悪いところをいい、コリや痛みの原因となります。
つまり、気の量や質・流れの良し悪しなどの「気の変調」から病気は起こる、という考えからきた言葉なのです。東洋医学では気の変調は感情や思考に影響を与えるとしていますので「気持ちの問題」というのもあながち間違いではないのですが、あくまでも気の変調がスタートであれば、あまり気の持ちようだなどと責めないでいたいものです。そう考えると普段使っている気のつく言葉も捉え方が変わってきますね。
全身や患部のツボを用いて気の変調を正すことで、病気や怪我などを治療しているのが鍼灸です。自覚症状のあるものは病気と捉えやすいですが、腹診や脈診などの東洋医学的診察法は症状が無くとも気の変調を見つけます。この状態を「未病」と呼び、すでに病気の始まりとして鍼灸治療の対象になります。症状が出る前に治療できることから、現代では予防医学の観点からも注目されています。テレビや雑誌などで「未病」や「未病治」という言葉を目にする機会も増えました。
本来は気の変調を来さぬよう日々の養生がありますが、現代社会を生き抜く中では残念ながら限界があるのも事実です。養生で賄いきれない部分を定期的に正すことで健康は高いレベルで維持されていくことでしょう。