昼間はすっかり春らしくなったとはいえ朝晩はまだ肌寒い。そしてこの時季に要注意なのが寒の戻り、まだ冬の対策を継続できるよう支度しておくのが吉です。
今冬も冷え性の患者さんが多く来られました。皆さん特に気にされるのが寝るときの足の冷え。冷えて寝付けないと言われる方、その多くが靴下を履いて寝るようです。実はこれは落とし穴。靴下による締め付けは血流の妨げになり冷えを作ります。それを気にして緩い物を選んでいる方も多くいらっしゃいますが、素足の方が理想でしょう。睡眠では日中と比べて血流が低下するので、軽い締め付け…極端に言えば肌に密着しているだけでも容易に抵抗になってしまいます。
そこでオススメなのが湯たんぽです。そもそも冷え性の方の多くは靴下を履いたところで保温する温度が足りてませんから、加温が必要なのです。
となると電気毛布や電気行火などを使っているという声もよく聞きますが、ここでもちょっと落とし穴。人間の体は慣れたり怠けたりすることが得意なので、電気毛布に一晩中温かくしてもらっていると体が本来持っている「温めようとする力」が怠けてしまい、結果的に冷え性の悪化に繋がりかねません。電気毛布でもタイマーで切れるよう設定できるものもありますが、切れてからの温度の下がり方が急なので、寒くなって目が覚めてしまうことも多いです。
湯たんぽは「徐々に温度が下がっていく」ところが絶妙に良いのです。はじめは温かく体を助けてくれますが、ゆるやかに温度が下がりその手助けを弱め、いつの間にか体にバトンタッチしてくれるのです。冷めるといっても朝までほんのり温かいですよ。
それでも寒くて目が覚めるほどの冷え性は治療の必要があるでしょう。
湯たんぽというと、お湯を沸かすのも面倒くさいしあんなデカいのがお布団の中にあるのも邪魔と思われがちですが、今では柔らかい素材の入れ物やレンジでチンするジェルタイプの物もありサイズも様々なのでとても扱いやすくなりました。体調やお好みに合わせて温度を加減できるのも湯たんぽの良さです。
本来は真冬に書くような話でしたが、まだまだ寒の戻りに要注意のこの時季。前回も少し触れましたが、春を無難に過ごすことが夏の元気に繋がります。5月くらいまではいつでも湯たんぽを使えるよう、仕舞わないでおいてくださいね。